Back Number

   内定者教育について
  先日、内定者(入社前)研修の引き合いが来た。講師業も生業の一つとしている私
 としては恥ずかしくもあり情けない話だが、内定者研修の引き合いは約2年ぶりで
 ある。
  多少以前の感覚に戻るのに時間がかかり、こちらは開催が10月の初旬とばかり
 先入観で話を聞き始めてしまい(10月の初旬はスケジュールが埋まっていた)、
 実施が3月と聞いてズッコケてしまった。過去の体験ベースで物事を考えると思い
 こみで判断してしまう典型を自分で演じてしまった(トホホ)。就職協定が廃止さ
 れた現在ではいつ実施しても構わないものだし、過去を踏襲して何も10月1日の
 内定式前後に開催する必要などないのである。

  さて話を本論に戻すと、「内定者研修」などという言葉はなんと懐かしい響きだ
 ろう。確かに現在、私が採用をお手伝いしている企業でも内定式や内定者懇談(交
 流)会は実施しているし、どうしても他社に行かせたくない内定者を囲い込んだり、
 通信教育を受講させる、指定図書を読ませて感想文を書かせる、内定者に社内行事
 に参加してもらう、アルバイトに来てもらうなどの施策例は枚挙にいとまがないだ
 ろう。しかしバブル採用時代のつなぎ止めや自社辞退の見極めなどの目的で実施し
 ていたような過去の内定者フォローとは、費用も時間も地味に、そして実質的な内
 容も変化しているといえる。かつて私が教育団体に所属し企画を担当していた時に、
 おもしろ系から真面目系まで10種類以上の内定者フォロープログラム集を作り、
 企業に配布して問い合わせに大わらわだったことと比べると隔世の感がある。

  今回引き合いのあった企業からは、技術系の職種を対象に入社前に動機付けやマ
 ナーの基本は済ませてしまい、入社後すぐに技術の研修に入るためのステップ(入
 社後の導入研修を短くして、すぐに専門的な教育に入る)という、「即戦力化」
 「即現場化」が大きなねらいと伝えられている。だからたとえ1日とはいえ、非常
 に内容の濃いカリキュラム構成になっている。
  こうした厳しい経済・経営環境において採用を実施する企業は、採用した以上は
 できるだけは早く現場に配属して戦力にしたいと思うのは当然だろう。導入研修は
 もちろんだが、内定者研修(やるやらないは問題ではない)もより実質的で合目的
 的なものに収斂されていくと言える。

  ましてや内定者は入社後の不安と期待、特にうまく敬語が使えるだろうか、電話
 応対できるだろうか…なとど不安の方が大きいといえる。そうした不安の解消にも
 つながる入社前研修は、過度な負担や時間的拘束でない限り、双方にとってメリッ
 トのあるものではないだろうか。そしてそれが引いては戦力化とともに、定着化へ
 のソフトランディングに結びつくと思える。

             (1999/10/18 人材開発メールニュース第60号掲載)

Go to Back Number Index
Go to Top Page