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高校生の就職とトライアル雇用

 高校生の就職が厳しい。厚生労働省が1月に発表した平成13年度の高卒内定率
調査いでは、昨年12月1日現在で63.4%と過去最低を記録したという。大卒
および短大卒の内定率が改善に向かっているだけに高卒の落ち込みが飛び抜けてい
る。厳しい環境の背景には、高卒の就職先の中心である製造業の空洞化、事務職採
用の絞り込み、あるいは採用の重点が、仕事の質的変化や応募状況の好転により四
大生・短大生へとシフトしていることなどが挙げられるだろう。また、迂遠に考え
れば、七五三現象に代表される離職率の高さ、定着率の悪さから企業側に高校生の
採用を躊躇・敬遠する意識もかいま見える。

 さて、厚労省はこうした事態を受けて、卒業時に3ヶ月間試験的に高校生を採用
する“トライアル雇用”を導入した企業に1人当たり月額5万円の奨励金を支給す
る制度を前倒しで実施するという方策を打ち出した。
 しかし、3ヶ月後、そのトライアル雇用で雇われた若者達はどうなるのであろう
か。多くはその会社に正式に採用される?!その保証は一つもない。入社3ヶ月間
といえば、5月のGWをはさみ、いわゆる五月病の発生期間が含まれる。定着に向
けて一番難しい期間ではないだろうか。また、高卒の初任給は平成13年度全国平
均で158,000円(雇用保険被保険者資格取得者平均)、5万円の奨励金を受
給すれば企業負担は月10万円前後、時給800円で1日8時間×20日間稼働で
12−3万円、バイトを雇うより企業負担は軽くなる。一時的にバイト代わりにト
ライアル雇用されて、3ヶ月過ぎればポイッと捨てられる…考えられないことはな
い。

 厚労省のこうした施策については、機動性を感じるが、あくまでも緊急避難的な
措置でしかすぎない。もっと言えば、背景に「一時的に失業率が上がらなければ」
「就職浪人が一時的に増えなければ」とりあえず税金を投入してどこかに押し込ん
でおく…という感じがしてならない。また、「官」が「下々の民」に施してやる、
恵んでやるという態度が感じられる。「お代官様、お願えしますだ」の世界である。
 そういえば、狂牛病の発生原因と考えられる肉骨粉の輸入を海外からの警告を無
視していた当時の担当者であり、昨年の発生時の混乱を適切に対処しなかった農水
省次官の退職金は満額の8000万円超という。勇退とのことだから責任もなに取
ることなくさっさと逃げていった。

 我々は(といってもどこまでが含まれるかは難しいが)厳格に税金を吸い上げら
れる。元札幌国税局長のような威光も使えない。そしてその税金は「施し」「お恵
み」としてバラまかれ、一部の人たちのためだけに食い尽くされる。公共工事・道
路延長に群がる人たち、談合、金融機関への公的資金投入しかり…トライアル雇用
で救済されるかもしれない高校生たちはそれを緩和するだけのカムフラージュなの
かもしれない。

             (2002/02/04 人材開発メールニュース第173号掲載)


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