不況期になると、厳しい民間企業の就職を避けて、公務員志向が急激に高まる。安定志向が増幅し、金融危機の発端でもあった外資系金融はリスクが大きすぎてとんでもないとなる。安定志向どころではなく「安全」志向がのさばってくる。
公務員志向をだめだとはいわないが、民間企業の業績悪化を受けて税収が大幅に減る自治体も多く、そうしたところは給与・賞与カットが待ち受けている。公務員とて安定・安全とはとてもいえないだろうし、採用枠も確実に減っているのが現実である。
ところで、このサイトを見ている学生諸君の中には東京・首都圏、大阪・近畿圏、愛知・中部圏以外の学生も多いことだろう。君たちの地元の景気や雇用状況は一体、どうなのかじっくりと見回したことがあるだろうか。一般論でいえば、景気の波は首都圏から半年遅れで地方に波及する。
特に、地方は企業の工場誘致と密接な関係があり、愛知・岐阜・三重の東海3県は、トヨタ自動車および部品会社、シャープの亀山工場など経済・業界との結びつきは死活問題でもある。逆に、宮城県のように、人材確保と地方自治体の手厚い支援で、自動車関連の工場が進出もしくは進出予定のある地方も多く、企業や工場進出などその動向に関心を向けないではいられない。光と影が常に押し寄せてくる。
一方で、地方の学生は地元就職に固執する傾向が強まっている。加えて、少子化・一人っ子の増加により、「親」が県外に出て行くことを阻止する傾向も強い。結果、「やりたいことをするために」働く地域は問わないという学生よりも、やりたいことを我慢しても「地域にある仕事を選ぶ」ことになる。地域にある仕事といっても、郵便局、信用金庫、農協、地銀の支店、電力・ガス会社、役場くらいしか仕事はない。大手資本の小売り店舗でもあれば幸せなのかもしれないが、撤退してしまえばジエンドでもあるのだが。
私は、こんな時代だからこそ、大都市圏での就職をあえて勧める。大都市圏はさすがに企業数が多いし、業界・職種も豊富にある。リスクもあるが、リターン、チャンスも地方でちまちましているよりも大きいはずだ。かなりの確率で「選ぶ恩恵に浴する」ことができる。条件も高めに設定できる。ビジネススピードの速さとフィールドの広さは魅力的だし、大都市圏のビジネス環境で3−5年揉まれれば故郷に戻っての転職は引く手あまたかもしれない。来年の就職という短期的視点ではなく、5−10年を見据えた人生の中長期戦略から考えれば、都市部で鍛えられた3−5年は大きな資産であり自分への投資だ。
もちろん東京、大阪、名古屋という大都市でなくてもいい。その周辺都市でもいいだろうし、例えば、秋田、青森なら仙台、熊本、鹿児島なら福岡といった地方中核都市でも構わない。限定された狭い地域での就職活動に埋没することなく、せめて県庁所在地くらいのところまで視野を広げることだ。安全、安心、内向きも大切だが、それ以上にこんな時代だからこそ、積極果敢な意識と行動が必要になる。
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