VOL.18「就活環境は厳しいわけではない」

 リクルート・ワークス研究所が毎年発表する大卒求人倍率、2012年3月卒業予定の求人倍率は1.23倍と、昨年(1.28倍)から比較すると0.05ポイント低下、ほとんど誤差の範囲の微減に留まった。大震災の影響が懸念されて大幅な落ち込みがけ懸念されたが、意外や意外、さほどの落ち込みを見せなかった。

 同時期に発表された日本経済新聞社が調査した2012年採用計画調査でも、採用予定数は13.7%増と2年連続のプラスという。過去の採用で絞り込みすぎての人員構成の歪みの是正や、継続雇用してきた団塊の世代の大量退職を迎えること、そして、飽和状態や衰退傾向にある日本国内から企業の主戦場が新興国市場に移り、海外展開を担う人材の確保といった点で、震災後にもかかわらず採用意欲は衰えていないことを示している。

 再度、新卒求人倍率に目を転じてみると、従業員規模5,000人以上企業(いわゆる大手、大企業群)の求人が7.0%プラスになったが、300人未満企業(いわゆる中小企業群)はマイナス9%と、明暗が分かれる結果になった。大手企業の採用増はうれしいことだが、求人倍率でみると5,000人以上0.49倍、300人未満企業3.35倍になり、大企業に入れるのは計算上2人に一人で狭き門に変わりはない。加えて、業界別に見ると、製造業1.53倍(昨年1.66)、流通業3.94倍(昨年4.17)、サービス・情報0.47倍(昨年0.48)、金融業0.19倍(昨年0.18)と、業界毎に大きな差が出ている。

 数字上でみれば、流通業(製造業)・中小企業で比較的倍率も高く間口は広い(但し、1社当たりの採用数は少ない)が、大企業で金融業は本当に狭き門といえる。これは、実際の学生の就活での「体感」として現れており、企業側の採用選考基準の水準や要求は格段に高まっており、その基準を満たさなければ採用予定数を下回ってもよいというスタンスが鮮明で、実感としての就活の厳しさにつながっている。
 加えて、海外展開に対応できる人材の確保が今後の主流になることもあり、大手企業を中心に、採用予定数の5−6割を外国人採用枠として確保するところも増加の一途を辿っている。結果、日本人採用枠は半減しており、実質の求人倍率の半分・・・といったところが本当の数字ではないかと思ってしまう。更に、これに複数内定組の動きが加わる。採用予定数の1−2割を複数内定の学生が占領し、やがて内定辞退に移ってもその枠は他の学生では埋めないことが予想され、その分が内定数の減になるのだ。1社内定組は、求人数×6割(日本人枠)×1−2割(複数内定者に出た内定)の残りの奪い合いになっているともいえる。

 しかし、数字は物語る。企業の採用意欲の高まりと、実際の採用数の上昇が伝わってくる。厳しい環境、震災の影響・・・一部にはもろに影響を受けている学生は多いと思う。しかし、それを言い訳にできない環境でもあることを忘れないことだ。


− 「ここだけは読め」一覧へ −